クイズRPGの「黒ウィズ」から学習ゲームの着想を得るのは良いけれど。

kurowiz

先日、お仕事での話から。

パズドラに次ぎ、利用者が増えている気がする通称「黒ウィズ」。

クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズである。

私は仕事柄、「学習」「教育」「IT」「ゲーミフィケーション」といったキーワードが打合せの中で出てくること多々あるのですが、ある企業さんとの打ち合わせの時に、担当の方から出てきた言葉がありました。

「黒ウィズのようにゲーム感覚で楽しんでいたら、気が付いたら学習していたというようなことをしたい。それくらいじゃないと対象者(その業界のターゲットとなる方々)は主体的に学ぶことをしない。こういった“ゲーミフィケーション”を取り入れたい」と。

私から言わせれば、それは「ゲーミフィケーション」ちゃう!!とついツッコミを入れたくなってしまいました。単純に「ゲームっぽくする」とか「ゲームに置き換える」とかでは意味がないんです。それは単に「ゲーム化」です。

断言してもいいですが、主体的に学ぼうとしない人は、ゲームっぽくしたからといって、やっぱり主体的には学びません。単なるゲームとしか捉えないはず。主体的に学ばせるには、表面上の繕いでは全く効果がないと思います。

楽しいだけでは何も変わらない

私も、黒ウィズが登場したばかりの頃に注目していて、実際にそれなりに遊んでみて、試していました。こういった形でクイズに答えていたら、もしかすると何かしらの学習効果があるのではないか?と。

私の中での答えはNoでした。

  • 目的が「ゲームをクリアする」である限り、回答は直感に頼ることになる。結局、これまで得ている知識に頼っているだけで新たな学びではない。
  • 回答が正解であれ不正解であれ、その解説とかはなし。逆にもし解説があったとしても読まない。
  • ゲームは一時的に夢中にさせるには適するが、必ずといってもいいほど誰しもが飽きる。

この3つが大きな理由です。

百歩譲って、同じような仕組みの学習ゲームができたとします。夢中にさせるためには、黒ウィズやパズドラのように作り込まれた世界観と、やり込み要素を実現するための膨大なキャラクターやアイテム、時々状況を見ながら投下する限定イベントやキャンペーンという運営パワー、ゲームバランスを調整するチューニング。これらが必要だと考えれば、安易に“それっぽい”ものを学習対象の方々向けに展開するのが以下に無謀か!

さらに百歩譲って、作ってしまったとしましょう。きっとその世界観に共感するのは一部。確実といってもいいほど、どんなものにも好き嫌いが生まれます。一部をターゲットにして、そこをマーケットにするならば良いかもしれませんが、そうではない場合は失敗するでしょう!ある意味で嗜好品ですね、世界観っていうものは。

というわけで、このあたりをかいつまんでお伝えすると、多少はそのむずかしさについてはご納得いただけた気がする。

結局やる理由と動機付け、そして人の関与が重要

楽しい世界観をつくるのはもちろん賛成です。ゲームっぽくするのも悪くはないです。どちらかといえば、私はそういったものもうまく使って課題を解決したい人なので。

でも、結局のところ、人を動かすためには、何らかの動機付けが必要です。目的を持ってもらうことが重要です。動機付けられる要因も人それぞれかもしれませんが。

人に学んでもらうためには、マーケティングの考え方が本当に必要になるということを最近特に実感しています。「買いたい=学びたい」と置き換える。それだけです。その人が学びたいと思うきっかけは何なのか。ターゲットをセグメントしたり、もっと言えば、ペルソナとかまで徹底して落とし込んで考える必要があるかも。

つまり、楽しいものをつくったから、はいどうぞ!では誰もやらないし、もっと楽しいゲームなんて世の中に腐るほど溢れています。ましてや学習のためのゲームだったら、強い動機が無い限りやっぱりやらないでしょう。

そしてもう一つ重要なのは、人の関与です。先生、トレーナーや、上司といった人からの関与。そして仲間どうしの関与も。機械的なメールやメッセージが届いても「あ、またか」とみんな思うんちゃいますかね。そこに対人のコミュニケーションの温かみみたいなものは必要だと思います。誰だってへたれそうになりますから、そんな時に誰かが背中を押してくれるとか、そういったことって重要です。

人をその気にさせるには、手間暇かかるんです。

このあたりのいわゆるモチベーションに関する話は、マズローの欲求段階説やら、ハーズバーグの動機付け理論とか、その他の様々な学説にも通じるものだと思います。このあたりは長くなるので、また今度。

ちなみに、めちゃハマりしているわけではないですが、ごくたまにやる黒ウィズは私はそれなりに好きです。

ブラ・トヨ

ブラ・トヨ について

真面目にゲームやアソビの利活用を研究中。 行列と渋滞が苦手。締めのラーメンは食べません。野球は観るのもするのも好きな元テニス部員。妄想と空想と現実の狭間で過ごす。時々ダークサイドが露出しますが許してください。