ブランディングと人材育成〜イキイキとしている美容室には何が起こっているのか?@APO研

HAIR SALON with Ivy

イキイキとしている美容室には何が起こっているのか?

3月21日のAPO研究会は、美容室専門のブランディング/プロモーションを手がける株式会社エム・ワン プランニングオフィスの八坂さんにゲストスピーカーとしてお話をお聞かせいただきました!

イキイキとしている美容室(≒繁盛している美容室)にはどういった共通点があるのか。
(きっと、職場がイキイキする、人がイキイキすることのヒントがあるかもしれない)

もちろん立地や、ハコも大切だが、最終的に行き着くところは「人」であるといいます。技術力はもちろんのことながら、“人間力”というものも加えて重要ということ。ではその人間力って?

成果が出る職場(店舗)では何が起こっている?

オーナーの資質も重要で、やはり原動力になるもの。きちんとしていて、行動力があることはその要素の一つ。そして、二番手三番手の人材をうまく育てられるかどうかが次のステップで重要になってくる。

人が育つ環境づくりというのは大切で、美容室でもうまくいっているところというのは「社内行事」が多いらしい。社内行事って口実は何でもよくて、それは何を意味するかというと「スタッフ同士のコミュニケーション機会が多い」ということなんですね。(きっとスタッフの誕生日会でもいいし、お店の周年記念でもいいし。私が通う美容室の一つは、開店前にサロンで先生呼んでヨガとか体操やったりしているところもあったよ。あと休日にボルダリングとか。)

そして、ここからがまた大切で、コミュニケーション機会が持てて信頼関係が出来上がってくると、スタッフ自ら手を挙げてミーティングをし始めるらしい。そうなってくると間違いなくイキイキしてくると。

ミーティング

自発的なお客様のためのミーティング?

どんなミーティングかというと、「お客さんに喜んでもらうにはどうすればいいか」というシンプルだけど、とっても重要なテーマで意見を出し合う。最初はしょうもないアイデアばかりだったとしても、こうやって意見を出し合うミーティングを繰り返すうちに、スタッフの普段の行動や志向も変化してくる。いわば、率先して接客中や業務中に“ネタ”を探すようになる。すると、自然とお客さんに喜んでもらう行動をするようになるし、何より「気配り」ができるようになってくる。(接客に関しては、この気配りがとても重要なのは当然!その他の業種でも気配りが出来る人って仕事が出来る人、きっと。)

そうしてミーティングをしているうちにお客さんが喜ぶ楽しいサプライズとか、良いサービスアイデアが生まれてくる。こうなれば、お客さんはもう離れない。(なるほど、美容室などは得にリピーター命ですもんね、確かに!)

このミーティングをするとか、お客さんが喜ぶことを考えるとか、ちょっとしたことをサービスするとか、すぐに取り組めることなのに、実施するお店と、そうではないお店が存在するらしい。ここで大きな差が既にできていますよね。

シャンプーの目隠しの間に電気を消して、キャンドルロードつくって、ケーキのプレゼントとか、お名前刺繍入りのおしぼりの話とか、雨の日のお客さんの自転車のサドルにビニールをそっとつけておいた話とか、事例のお話もとても面白かったです。

花をプレゼント

大げさなサプライズじゃなくても、ちょっとした気配りが嬉しいもの。

ステキなサプライズとか、「自分のために?!」というのが、感動につながるし、美容室の多くは都心でなければ、地域密着型ですから、失客率の低下というのは大きい。そして、こういった感動はほぼ確実にクチコミされる。得に女性同士は情報が早いかも。

じゃあミーティングすれば良いのかといえば、そうではなくて間違ってはいけないのは「売上げや利益を上げるためのミーティング」と位置づけていないところ。「追加商品をどう売ろうとか、 料金を上げるためにはどういうサービスをしようか、カラーの比率を上げますか?」とかでは絶対にないということ。

ちなみに、うまくいっている美容室は、メンバーがみんなプラス思考で、退職したり、近所に競合店を独立してつくるとか、そんなことにはならないそう。うまくいっているお店は、独立せずに、のれんわけするとか、そうなるらしい。

ある美容室はすごく業績が好調でうまくいっていたが、オーナーが天狗になってしまい、売上げ至上主義になり、本人も遊んでしまった。そうすると、一気に衰退が始まり、一度つぶれてしまう。そこから初心に返り、残った仲間とまた一からスタートし、今ではすごい美容室になっているという事例もあるとか。(九州の美容室の話)

マーケティングの戦略とか戦術とかに四苦八苦しているお店は、実はたいして伸びていなくて、こうしたお客さんの方を向いて与え続けるということをオーナーからスタッフまで巻き込んでやり続けるお店が伸びているという実感があるのだとか。なんだか示唆があるなぁ、ほんとに。

とはいえ、業界的には、美容師になりたい学生の減少が著しく、人材難。美容専門学校も経営的に厳しい状況。(大学全入時代、きついし賃金安いし、2〜3年シャンプーと掃除しかできないとか)ビューティフルライフ(懐かしい)の流行った時代とは大違いの、不人気職種。→だからこそ、プロモーションだけじゃなく、人材採用という側面でもブランディングが大切ということにつながるそうです。求人とセールスって似ているところありますよね。

職場と人間が変化する転換点って?

ディスカッションの中で、職場(お店)がそうやって前向きに変わる“転換点”はどういうタイミングなのか、そして教育で人は気配りなどができるように変化するものなのか(センスが必要な職業もある?)、ということで議論が盛り上がりました。

結論として、教育で変わる!ただ、オーナー(トップ)が人任せにしたりしていてはだめで、自らがやる気をもっていて、行動力がなければならない。が!オーナーだけではやはり変わらない。その下の人たち、そして若手まで想いや行動が波及しなければ転換点はこないし、一朝一夕には行かないかもしれない。でもやらなければ変わらない。

加護野忠男先生がディスカッションの中でお話してくださった事例も面白かったです。宮大工の世界のお話、飛び込み営業の某事務機器会社の話、パティシエの世界の師弟関係や独立の考え方、祇園の舞妓さんの話。祇園では15歳で世界に入り、お座敷に出ることもあるわけで、その時点で「気配り」や場の作り方、切り盛りの仕方を先輩から実践を通して教わるわけです。

成果を上げる人材育成の共通点

ミーティングをするにしても、コミュニケーションのとりやすさにしても、そういった気配りとか人間力(得にヒューマンスキルの部分)というのは、小さなチーム“目が届く範囲”の小集団の方が習得しやすいということ。実際に組織が小さい方が、改善をしやすいし、1人1人がぼーっとする暇もないし。ちょっと上くらいの先輩が面倒も見やすかったり。これは美容室もそうだし、祇園の座敷でも言えることらしい。どんな業種の職場でも同様だと思う。仕事の職場に限らず、趣味の小集団でも、人数が7〜8人を超えてくると意見を発信しないメンバーが出てきたりするものです。(実際に発信しづらい)

そう考えると人材育成にしても、製品やサービスの品質向上にしても、何かの成果を上げるにしても、5、6名までのチームをつくって活動する(昔のQC活動みたい)ことは、とても意味があることだと改めて思いました。チームビルディングは大切。チームをリーダーシップをもってマネジメントできるリーダーの存在や、チームを支えるメンバーのフォロワーシップ。

組織が大きくなり過ぎると、フリーライダーみたいな人が出てきちゃう。既にある企業名とかブランドを与えられてぶら下がるだけの人。

大きな組織でも、チームの作り方とか、仕組みの作り方で成果は変わってくると感じました。

まとめ

企業のブランディング、マーケティングと、人材育成や組織のあり方ということが密接につながっていることを改めて実感するお話と議論でした。
(自発的な学び合いを互いに行うソーシャルラーニングが、自然と起こるくらいになっている組織はイキイキと成果が上がる組織であるということも実感。)

個人的には、人材育成面でも、マーケティング面でも、「チーム力」が大切だという風にまとめました。

ちなみにゲストスピーカーの八坂さん、私の出身高校の2○年上の大先輩!です。

▼八坂さんの本です。美容業界のみならず、他のビジネスの現場でも共通する話かも。
美容学生から「働くなら絶対あの店!!」と言われる美容室経営

photo by: inoc
ブラ・トヨ

ブラ・トヨ について

真面目にゲームやアソビの利活用を研究中。 行列と渋滞が苦手。締めのラーメンは食べません。野球は観るのもするのも好きな元テニス部員。妄想と空想と現実の狭間で過ごす。時々ダークサイドが露出しますが許してください。